森と樹と冬

わが社は人数も施工件数も少ない工務店だと思う。
それ故。(かどうか、社長に確認したことはない)
『匠の会』という協同組合と
『チルチンびと・地域主義工務店の会』
に参加し、社長が勉強会などによく出かけ横のつながりを大切にしている。
そんなくくりの中で、おそらくは誰にも知られていない活動に、『森から住宅を考える』というつながりがある。
千葉県ではなくて埼玉県の「千葉工務店」
神奈川県の「高棟建設工業」
とわが社の三社で時々イベントを企画してきた。
Ⅰ 自身その活動からわが社で仕事させてもらう縁があった。
そして、その活動の中で「山」に行かせて頂き、実際に家の柱や梁となる樹について
勉強する機会を頂き、少しではあるが山と森と樹と家と人について、ぼんやりと考える時間もでき、
また少しだけ、それを知ることができた。
図書館のHP予約で何の予備知識もないままに借りてきた本
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『約束の冬』宮本輝・・・読み始めたばかり
著者は(当たり前なのかもしれないが)山のこと樹のことその土地のことを丹念に取材しているのが分かる。
当たり前と言ってしまえばそれまでだが、興味がなければ深く取材できるわけもなく。
今まで気にとめていなかったが、背景として描かれたそれらが実は主題だったのか?と今頃になって考えが
及んだ。
本書のなかで山火事に関する記述では、密集する森の中では長生きしている樹木の日陰で、新たに地上におりた
種たちはその使命である発芽と生育ということ自体が困難になる。
その状況を長命の樹木たちが満月の夜に話し合い、条件の整った時を見計らい、自らの肌と肌をすり合わせ
火災を起こし、次代へと繋ぐ。ことや。
植林の仕事は今の自分たちのことではなく、孫たちの時代を見据えてする仕事。や。
神社仏閣の樹齢数百年という樹木の行く末など。
先日の鶴ヶ丘八幡宮の大銀杏が強風に倒れたことを報道で知っていたが、まさしくその行く末についても
想像させられた。
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たんぽぽは力強いイメージだなぁ・・・けれども
『花のいのちはみじかくて 
 苦しきことのみおおかれど
 風も吹くなり
 雲も光るなり』
林芙美子
ひかりのある歌に上を向く時間

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