vol.17【 左官について 】

その昔、家を建てるのには大工と左官があればすべてまかなえました。建築様式の変化により、近代以降、屋根・塗装・内装と左官などに分かれ、現状では27職種とも言われています。 左官の素材は、古来より地場およびその近隣で産出された土と石灰が中心でした。

従って、その地方独特の壁が町並み形成に大きな影響を与えてきました。土は主に町家建築、数奇屋建築の土物壁として、石灰はしっくい塗りを中心とした土蔵、城郭建築に使用されてきました。

しかし、明治以降は輸送手段が整い、左官素材は多岐にわたり、自然素材の加工品や工業製品と多種多様になりました。

vol.16【 エコ系断熱素材について 】

断熱材も、どんどん「エコ系」のシェアが伸びている昨今。大丸建設では、ウールの断熱材、秋田杉の樹皮+チップを固めた断熱材を使っています。ウールや麻などの断熱材はロール状、まるで洋服のように家全体をすっぽり包み込みます。

一方、炭化コルクや木質繊維を固めたものは、やはりカッティングして柱と柱の間に埋め込むタイプの材料です。古紙を回収して綿状にし、ホースやガンで充填するタイプのものでセルローズファイバーといいます。

vol.15【 木の年輪はこうやってできる-2 】

桧だと、一番玉からは、通し柱や土台、二番玉からは、柱材、三番玉からは、大引きや足場丸太などをとります。 杉だと一番玉からは、梁や桁材、二番玉からは、梁や桁材、 三番玉からは、柱材、四番玉からは、柱材、五番玉からは、バタ角、足場丸太など。

これは一例ですので、樹齢や太さによって変わります。

vol.14【 木の年輪はこうやってできる-1 】

年輪が目で見てわかるのは、樹木の成長速度が季節によって違うからです。樹木の一番外側の部分には形成層という、新しい細胞を作り出す狭い環状の組織があって、樹の幹が太る秘密はこの形成層にあります。

樹木は春から秋にかけて、この形成層の内側へは木材のとなる細胞を、外側へは樹皮となる細胞を細胞分裂により生み出します。成長が盛んな春には、径が大きく壁の薄い多数の細胞が作られ、夏から秋にかけては径が小さくて壁の厚い細胞が作られます。

この差が層状に明瞭なコントラストとなって現れて、まるでバウムクーヘンのように見えます。

vol.13【 断熱材について 】

断熱材とは、暑い日は外の熱気を室内に入れない、寒い日は室内の暖かい空気を外に逃がさないようにするというように、まさに熱を伝えにくくするための材料です。

断熱材の性能を比較する場合、一般的には熱伝導率という値が用いられます。数値が小さいほど熱を伝えにくく、断熱性能に優れた材料であるといえます。例えば、グラスウールは0.050W/(m・K)、ロックウールは0.038W/(m・K)、羊毛断熱材は0.037W/(m・K)くらいです。

同じくらいの性能であれば、自然素材の方が、人の体や環境を考えた環境に優しいことは、自分たちにも優しいということになると思います。

vol.12【 建築の基礎について 】

基礎は建物の荷重を分散して地面に伝え、基礎の重さ自体と地中に一部埋まっていることで、建物全体が持ち上がったり横にずれたりしないようにする役目を果たします。 昔は、基礎と言いながらも石の上に建物を載せる程度でしたし、20年程前になってからようやく、鉄筋を入れるのが一般的になったのです。

逆に言えば基礎と接する地盤の地固めがきちんと出来てはじめて信頼できる基礎になると言うことです。従って、基礎ベースの下側の土に不具合があるとすぐに基礎に影響が現れると言うことになります。 つまり、地盤と基礎は切っても切り離せない関係にあるものです。

vol.11【 アスベスト問題について 】

アスベストに起因する健康被害問題がマスコミで度々報道されていますが、健康不安を煽り必要のない高額リフォームを勧める悪徳業者の増加も報道されています。

しかし、実際に不安を抱えている方も多いと思います。今回は住宅に使用されている可能性のある箇所と理由を簡単にまとめます。

  • 屋根、外壁:耐火性、耐久性
  • キッチンの天井:耐火性
  • 駐車場(梁・天井):耐火性
  • その他:軒天井、Pタイルなど

一般住宅においてアスベストは、アスベスト成形材としてセメントなどで固定して使用されています。これらは切断をしない限り、大気中に飛散する可能性は飛散は低いと考えられます。

しかし、破壊した際にはアスベスト成形材であっても大気中にアスベストが飛散する可能性があるため、解体や改修を考えている場合や、著しい劣化が見られる場合には早目に対策が必要となります。

vol.10【 アスベストについて 】

アスベストは石綿(いしわた、又はせきめん)とも呼ばれ、名前の通り綿のように柔らかな繊維ですが、鉱物の一種で、火にくべても燃えません。

アスベストという言葉は「消すことができない」又は「永遠不滅の」という意味のギリシャ語に由来しています。アスベストは単一の鉱物ではなく、6種類が知られています。

白石綿は建築資材として多く用いられてきましたが、悪性中皮種の原因となってしまいます。自然界ではほとんど分解しません。

アスベストは、タバコと相乗効果で肺がんになりやすくなります。 アスベストを使用している現場などには近寄らないようにしましょう。また、普段住んでいる所や、長く居る場所のアスベストの有無を確認するのも大切です。

vol.09【 木の継ぎ方 】

木造建築が大工の経験と技量で建てられていた時代には、柱や梁の端部を複雑に加工し、釘や金物をほとんど用いずに巧につないでいました。 材を1本の長い材にする部分は「継手」、ある角度に部材をつなぐ部分は「仕口」と呼ばれています。

現代では、釘やボルト、かすがいなどといった金属製の接合金物も用いられ、木の加工を簡素化する傾向がみられます。

vol.08【 木の「節」ってなぁに? 】

「節(ふし)」とは立ち木の時の枝の付け根が製材にあらわれたものです。JISでは「生き節」「死に節」「腐れ節」「流れ節」に分類、品等区分しています。

「生き節」とは節の繊維が周辺の繊維とうまくかみ合って抜けにくい健全な節をいいます。「死に節」は木の成長過程で木の中にくるまれてしまうので、丸太の状態ではわからない場合が多いです。それゆえに製材した時に「死に節」が出てきてしまい、等級がさがってしまうことにもなります。

しかし、節があるのが必ずしも悪いわけではありませんが好みがわかれるところかとは思いますが…。

vol.07【 大工の三種の神器 】

大工の三種の神器についてご紹介いたします。

  • ちょうな:材の表面を平らに削る道具。刃幅6cm程度の平のみが、柄の先に直角に付いています。
  • 墨つぼ:材の加工・工作に必要な線や印を木材・コンクリートなどの面にしるすための道具。
  • かね尺:直角に曲がったものさし。さしがね、曲尺ともいう。短枝と長枝で構成される。

vol.06【 意外と知らない家具の危険性 】

市販されている家具の中でも安価なものは、合板でできているものが多いでしょう。合板には化学物質が含まれています。また、その表面の仕上げにはウレタンなど化学系塗料が塗られています。

せっかく自然素材で家づくりをしても、これらのような家具から、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン等が揮発してくるのでは、安心できる住まいにはならないかもしれません。

最近では無垢材で自然塗料による仕上げのものもでてきています。これからはそのような見方で家具を選ぶのも、自分でできる安心な生活づくりのひとつかもしれません。

vol.05【 接着剤について 】

接着剤にはトルエンやキシレンなどが溶剤として含まれています。これらの物質は揮発性が高く刺激の強い物質です。シックハウスの一因ともなっています。 昔は澱粉糊を使っていましたが、今では化学合成したものが主流となっています。

しかし、シックハウス問題などで、今また澱粉糊が見直されています。 前々回もお話ししましたが、F☆☆☆☆は、あくまでもホルムアルデヒドを規制しているものであるということに注意しなければいけないと思われます。

vol.04【 住宅に潜む化学物質 】

厚生労働省が室内濃度の指針を出しているのは13物質です。それに対し、建築基準法の規制対象物質は、ホルムアルデヒド、クロルピリホスの2物質です。

何から発散されるでしょうか。ホルムアルデヒドは、合板や壁紙用接着剤に用いられるユリア系、メラミン系、フェノール系等の合成樹脂、接着剤及び一部ののり等の防腐剤から発散します。

しかし、上記の物質をゼロにするのは難しいでしょう。限りなくゼロに近づける努力は必要です。

vol.03【「F☆☆☆☆」って何? 】

JIS・JAS共通の規格であるF☆☆☆☆(エフフォースターとかエフほし4つなどという)は、Fがホルムアルデヒドを指し、☆は数によって発散量を示す。☆が多いほど発散量は少ない。

しかし、見方を変えれば、F☆☆☆☆ということは、化学物質が含まれていることになってしまう?のではないだろうか。難しいところである(F☆やF☆☆などは住宅に使えたものではない)。

vol.02【 改正された建築基準法 】

住建築基準法が改正され、24時間強制換気が義務づけられました。これは室内の空気汚染を少しでもなくそう、というところに目的があります。

空気汚染は家に使われる建材等から揮発する有害化学物質によるものがほとんどです。家具などからも少量ですが揮発します。

しかし、建築基準法で規制している有害化学物質は、ごく一部です。

vol.01【 シックハウス症候群 】

住宅の新築・増改築後住宅建材や家具などから室内に揮発する化学物質や、ダニアレルゲンなどが原因で体調不良などを引き起こすことをいいます。人には化学物質を体内にとどめておける許容量がそれぞれあるようです。

ですから同じ量の化学物質を曝露しても、症状のでる方、でない方がいる様です。化学物質なしでは成り立たない現代では、住まいだけでもなるべく自然なものでつくりたいですね。