2026年06月18日(木)

第7回 長年の業者さんに、支えられて

資材不足や工期の遅れに直面するなかで、改めて感じているのが、業者さんとの長いお付き合いに支えられている、ということです。

 

材木屋さん、建材店、設備工事の職人さん、基礎工事屋さん、左官屋さん。家を一棟つくるためには、本当に多くの方の力が必要です。大丸建設はその多くと、何十年単位でお付き合いをしてきました。中には、先代の頃から関わってくださっている方もいらっしゃいます。

ふだんの現場では、あまり表に出てこない関係ですが、今のように資材が思うように入らないとき、その積み重ねが大きな意味を持ちます。「いつもの大丸さんなら、なんとかしたい」。そう言って動いてくださる方が、私たちの現場をいくつも支えてくれています。

 

商売としてのやり取りだけでは、こうした関係はつくれません。お互いに無理を言わない、約束を守る、現場の苦労を分かち合う。そういった当たり前のことを、長い時間積み重ねてきた結果なのだと思います。

 

地域に根ざした工務店として、家族のような信頼でつながった業者さんと一緒に、なんとかこの時期を乗り越えていきたい。一棟一棟の家は、こうした方々の力が重なってはじめて形になるものだということを、改めて噛みしめながら、日々の現場に向き合っています。

 

 

2026年06月15日(月)

第6回 ガソリン価格の上昇の影響

中東情勢の影響は、建材そのものだけでなく、それを運ぶ運輸部門にも及んでいます。原油価格の上昇は、ガソリンや軽油の値段に直結し、トラックでの輸送費に重くのしかかります。

 

注文住宅は、規格化されたハウスメーカーの住宅と違い、お客さま一邸ごとに必要な部材を仕入れていきます。木材は産地から、自然素材の建材は誠実なメーカーから、その都度直接届けてもらっています。輸送のたびにかかる燃料費の上昇は、こうした小さな積み重ねの中で、確実に効いてきます。

 

加えて、職人さんの移動も、日々の現場には欠かせません。道具を載せた車で、複数の現場を行き来する。その燃料費もまた、業界全体の負担として広がりつつあります。

 

物流の費用は、建材そのものの値段ほど目立たないため、ふだんは意識されにくい部分です。しかし、家づくりに関わるあらゆる工程は、必ず何かを「運ぶ」ことの上に成り立っています。一棟の家ができあがるまでに、何台ものトラックと、何人もの人が動いている。その全体像を改めて意識する時期に来ていると感じます。

 

今後の情勢を注視しながら、無理のない物流の組み立てを工夫していくことが、現場の責任だと考えています。仕入先と運び方の相談を重ね、少しでも無駄を減らしていく地道な工夫を、これからも続けていきたいと思います。

 

 

2026年06月12日(金)

第5回 木材は産地から直送、だからこそ影響が最小限

こうした資材不足の中で、大丸建設で比較的影響が小さくおさえられているのが、家の骨格を支える木材です。

 

大丸建設では、長年にわたり、国産材の産地と直接のお付き合いを続けてきました。柱や梁、床材に使う無垢材の多くは、産地から私たちのもとへ直送されてきます。間に多くの流通を挟まないため、海外情勢や輸送網の混乱の影響を受けにくい仕組みになっています。

数年前のウッドショックのときも、北米を中心とした木材供給の混乱で、国内では一気に木材価格が跳ね上がりました。あのとき、産地との関係を続けてきたおかげで、私たちは大きな混乱なく現場を進めることができました。価格や数量の面でも、できる限り無理のない形で材を確保していただけたことに、今も感謝しています。

 

産地との関係は、価格の交渉や数量の調整だけで成り立つものではありません。山の状況、伐採の時期、乾燥の手間。そうした一つひとつを共有しながら、お互いの仕事ぶりを長く見てきた信頼があってこそ、いざというときに支え合うことができます。

 

国産の無垢材を使い続けることは、家の質や心地よさのためだけでなく、こうした不確実な時代に、家づくりを止めないための現実的な備えにもなっていると感じています。

2026年06月09日(火)

第4回 工期がずれる、ということ

現在、大丸建設では水道管や塗料、断熱材、そしてベニヤ板といった建材の入手が困難になり、代替品の確保や工期の調整を進めていますが、すでに大きな影響を被っています。一つの部材が遅れるだけで、現場全体の工程が動かなくなる。家づくりは、そうした連続性の上に成り立っています。

 

たとえば、ユニットバスの入荷が一カ月遅れると、その間に予定していた壁の仕上げや、その後に続く内装工事も、順に後ろへずれていきます。職人さんの段取りも組み直しになり、別の現場との兼ね合いも生じます。基礎、大工、設備、仕上げと、現場は多くの職種が時間軸でつながっているため、一カ所の遅れがいくつもの工程に波及します。

最近は、こうした工期の遅れが、決して特別なことではなくなってきました。大手の建設会社ですら、納期やコストが見合わずに見積もりを出せない、ということが起きていると聞きます。資材だけでなく、人手不足といった問題も重なり、現場の段取りはこれまで以上に難しいものになっています。

 

工期が延びれば、当然コストにも影響します。仮設の費用や職人さんをおさえておく費用、管理の手間が増え、お客さまにとっては、お引っ越しの時期にも関わってきます。

 

だからこそ、私たちはできるだけ早い段階で見通しを共有し、無理な工程を組まないように調整を試みています。「予定通りに進めるための準備」だけでなく、「予定がずれたときにどう動くか」も、あわせて考えるようになりました。家づくりの時間軸は、思っていた以上に外の世界とつながっています。そのことを前提に、現場の組み立てを見直していく時期に来ていると感じています。

 

2026年06月06日(土)

第3回 ユニット製品が手に入らない

なかでも特に頭を悩ませているのが、ユニットバス、トイレ、洗面化粧台、給湯器といった、いわゆるユニット製品の入手難です。

 

これらの製品は、メーカーの工場でさまざまな部材や電子部品を組み合わせて作られています。その部品の一つでも欠ければ、製品として完成しません。たとえば小さな樹脂部品がそろわないだけで、納期が数カ月単位でずれることが起きているといいます。同じ機種でも、グレードや色によって入荷の見通しが違うこともあり、選定の段階で何度もすり合わせが必要になってきました。

住まいの中では、ユニット製品が入らないと工事の最終段階に進めません。床や壁の仕上げを残したまま、製品の到着を待つ。そうした「待ち時間」が、現場のあちこちで生まれてきています。

 

私たちとしては、できるだけ早い段階で発注し、複数のメーカーから情報を集め、必要に応じて代替の機種をご提案するなど、納期の見通しを立てるようにしていましたが、それも今は難しくなってきています。現状では、発注はできても、正確な納期がわからない状態で、工事に影響をきたしています。

 

お客さまには、ご希望の機種をすぐにご用意できない場面もあるかもしれません。その背景にあるものを、まずは現場の実情としてお伝えしておきたいと思います。

 

2026年06月03日(水)

第2回 動きが止まりはじめた建材たち

ここ最近、建材の納期に関する報道が、明らかに増えています。例えば断熱材の原料になっている石油化学製品「ナフサ」についてのニュースや、スナック菓子のパッケージの塗料が入手困難になり白黒印刷になるなど、「え、こんなところに?」と思うような影響が出ています。

石油化学製品が原料となっている建材の入荷は「未定」「数カ月待ち」「次回入荷時期は調整中」。大手のハウスメーカーですらそのような窮状に悲鳴をあげているのですから、私たちのような中小の工務店はさらに影響が大きいです。

 

特に影響を感じるのは、海外からの輸入部材や、海外で部品を組み合わせて作られている製品です。鋼材や設備機器、配管部材、樹脂系の建材、電気部品など、一つひとつは見えにくい部材ですが、住まいを完成させるためには、どれも欠かせないものばかりです。

これまでは、ある程度の余裕を見て発注すれば、工程に合わせて入荷していました。しかし今は、いつ入るかわからないという前提で計画を組まなければならない場面が増えています。特に発泡系の断熱材が入手困難となり、今度は代替品に発注が集中するため、悪循環を招いています。大丸建設の場合は環境性能を重視しているため、実はそう簡単に置き換えられません。仕入先と何度もやり取りをし、見通しが立った範囲から、慎重に工程に組み込んでいくような進め方になっています。

 

家づくりの現場は、たくさんの部材が予定通りに集まることで、ようやく工程が進んでいきます。その「予定通り」が、今は少しずつ揺らいでいる。そんな感覚を背景に、日々、一つひとつの判断を重ねている日々です。

 

 

2026年05月31日(日)

第1回 中東情勢から、家づくりへ届く影

ニュースを見ていると、中東情勢の緊張や、原油価格の動きが毎日のように報じられています。遠い地域の出来事のように感じる方も多いかもしれませんが、建築現場にいる立場からすると、その影響はすでに足元まで届いていると感じています。

日本の住宅は、見えにくいところで海外との結びつきが多くあります。鋼材、合板、断熱材、設備機器の部品、配管に使う部材など、輸入や海外で組み立てられたものに頼っている割合は、思っている以上に大きいものです。輸送ルートが混乱したり、原油価格が上がったりすると、その影響が玉突きとなり、国内の納期や価格にじわじわと響いてきます。

 

家づくりは、社会情勢から切り離されたものではありません。ニュースの向こう側の出来事が、ある日、現場の見積書や工程表の中に、姿を変えてあらわれます。コロナ禍からウッドショックを経て、そのつながりが目に見える形で表れることを、私たちはすでに経験してきましたし、このブログでも何度かお伝えしていることです。

 

そして今、同じような波が、ふたたび現場に押し寄せてきています。その影響はすでに大きくなり、お客様に納期についてご相談することも出ています。今回からしばらく、この資材不足の現状について、現場で見えていることや、私たちがどう向き合おうとしているのかを、少しずつお伝えしていきたいと考えています。

 

2026年04月28日(火)

第8回 住んでから続いていく家づくり

家は完成した瞬間が終わりではありません。むしろ、そこからが本当の始まりです。

住み始めてから気づくこと、使いながら調整していく部分、時間とともに変化する素材の表情。これらを含めて、住まいは完成していきます。

自然素材である無垢材は、家が経ってからも呼吸をしていて、夏は周りの湿度を吸ってややふくらみ、逆に冬は乾燥します。冬に「パン」と音を立てることがあるので、それを知らないお客様からご連絡がくることがありますが、木の性質をお伝えすると安心して、むしろその変化を楽しんでくださいます。

さらに、メンテナンスや相談といった関係も続いていきます。何かあったときに相談できる存在があるかどうかは、暮らしの安心に直結します。お客さまの住まいをつくった私たちは、お客さまに次いでその家のことを知っている存在です。「住まいの主治医」として、困ったときにいつでも駆けつけられる存在でありたい。

 

家づくりは一度きりの出来事ではなく、長い時間をかけて続いていくものです。その時間に寄り添うことが、私たちの役割だと考えています。

住まいは、暮らしとともに育っていくものです。その過程に関わり続けられることが、私たち大丸建設の喜びであり、誇りだと感じています。

 

2026年04月24日(金)

第7回 大工の仕事が家をつくる時間

家づくりの中で、最も長く現場に関わるのが大工です。上棟(家の骨組みである柱や梁を組み上げること)から造作、仕上げまで、日々現場に入り、建物の形をつくっていきます。

 

大工の仕事は、単に図面通りに組み立てることではありません。現場の状況に応じて判断し、微調整を行いながら進めていきます。

例えば、1本1本の木の木目を見て、どのように張り合わせれば美しい床になるのか。木は自然素材なので、一つひとつ表情が異なります。色合いや木目、板目が経年変化していくのを見越して、心地よく張り合わせていきます。

そうした積み重ねが、最終的な仕上がりに大きく影響します。

現在は大工不足が大きな課題となっていますが、それ以上に感じるのは、経験と技術の重みです。時間をかけて身につけた技術は、一朝一夕では代替できません。だからこそ大丸建設では常用大工を大切にし、家族の一員のように長くお付き合いをしています。

家の品質は、大工の仕事の質に大きく左右されます。その意味で、現場で過ごすこの時間は、家づくりの核心と言えるかもしれません。

2026年04月21日(火)

第6回 基礎工事から見える家の品質

家の品質は、完成してからでは見えにくい部分で決まることが多くあります。大丸建設の住まいは、むしろそこが真骨頂と言えます。その代表が基礎工事です。

 

基礎は建物を支える最も重要な部分であり、施工の精度がそのまま建物全体に影響します。配筋の組み方やコンクリートの打設など、一つひとつの工程が丁寧に行われているかどうかが重要です。地盤との関係性、建物や周辺環境の湿度や風通しなど、「強さ」だけでなく「温熱環境」にもつながってくる重要なポイントです。

基礎工事の工程は完成後に隠れてしまうため、一般には見えません。しかし、だからこそ現場では特に注意を払う必要があります。信頼できる基礎工事屋さんと連携して、私たちもしっかりと現場に立ち会うようにしています。

見えない部分にどれだけ手をかけているか。それが、長く安心して住める家かどうかの分かれ目になります。

基礎工事は地味な作業ですが、家づくりの根本を支える重要な時間だと感じています。