2005年05月

vol.07 (2005/5月)

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日本のものづくり文化―――「木の家」

大丸建設では創業以来130年、ずっと「木の家」づくりを続けています。なぜ、私たちが「木」にこだわっているのか、ご説明したいと思います。

身近にあるものでつくる家―。それが、世界各国で独自の家づくり文化を象徴しています。土の家、泥の家、石の家、レンガの家。。。そして日本では高度に発達した「木の家」があります。「水と森の国」日本では、豊富な森林資源が安定した木材の供給を可能にしているのです。

それと同時に、職人文化も発達していきました。「尺」や「寸」など、人間の身体を基本とした日本独自の寸法は、今でも建築用語として使われています。空間の大きさを畳や坪数で表現するのも、日本独特のものです。大工は経験と現場での勘を頼りに木を組み上げ、家の骨組みをつくってきました。

釘や金物を使わず、木と木を組み合わせてつくる伝統軸組構法の家がそれです。土壁や瓦は、その地域の土を使ってつくられました。木や土はその地域の気候風土に順応しているため、強く、しなやかで温度・湿度を調節する機能にすぐれているのです。 私たち大丸建設はものづくり文化を受け継ぐ職人たちと、「木の家」をつくり続けています。

今は技術も材料も合理化され、ライフスタイルも多様化しています。お客さまのニーズに応えるべく、本当の「住みやすさ」「快適さ」を提案していきたいと考えています。 東京の、この地域らしい「21世紀の家づくり文化」を担うのは、私たち大丸建設です。

なんでも情報局

木の家は呼吸している!

梅雨時には木の扉の建て付けが悪くなったり、乾燥する時期は木の表面がガサガサしたり、大きな音を立てて割れたり…。それはどうしてだか、ご存じですか?

木には、室内の湿度が上がると水分を吸い、逆に乾燥すると水分を放出するという「吸放湿性(調湿性)」があります。伐ったばかりの木材は、木口から水がドクドクとあふれ出すほどに水分を含んでいます。
建材にするために木材中の水分量を15%以下まで乾燥させ、屋内外の湿気のコントロールをするはたらきをもたせます。

湿度をコントロールできないと室内外に結露が生じる、空気が淀むなどの悪影響が出てきます。梅雨時に木がふくらむのは湿度を減らしている、逆に乾燥する時期は木が自分のもつ水分を家に与えてくれている証拠と考えれば、木の家での生活もますます豊かになるのではないでしょうか。

2005年03月

vol.06 (2005/3月)

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春だから、家にも清々しくリフレッシュ!自然素材の簡単リフォーム術

春は新生活をスタートするのに最適な季節! お子さまの進学で机を揃えたり、就職などで家族構成が変わったり、何かと変化が多い時期でもあります。そんな時は思い切ってリフォーム…とまではいかずとも、ちょっとした工夫で気分を変えることができます。

もっとも大きな面積を占める壁。汚れたビニルクロスをはがして、木・紙・土の壁に変えるだけで、とても心地よく気分もリフレッシュできるはず!

★クロスをはがす

カッターなどで角をはがし、対角線上に上から下へゆっくりとむいていきます。下地に接着剤などが残っている際はカッターなどではがし、なるべくデコボコがなくなるようにします。

★土壁仕上げにする

漆喰や珪藻土、貝灰などを使った土壁を塗ってみましょう。自然素材メーカーから出ている材料は、クリーム状のもの、水で溶くだけで塗れるものなど簡単に使うことができます。職人のように精緻な仕上げにはなりませんが、自分で塗った土壁の表情は味わいがあるものですよ。

★壁紙を張る

自然素材の壁紙には和紙、ケナフ、布(織物や葛布)などがあります。こういった自然素材の壁紙は、昔ながらのデンプン糊やこんにゃく糊で貼り付けることができます。また、汚れたら上から重ね張りできるのも特徴です。

★木の壁に塗装をする

DIYの入門といったらやっぱり塗装! 植物油のみでできたオイル、蜜蝋でできたワックスなど、今や自然塗料が大ブームです。昔ながらの柿渋、ベンガラなども非常に味わいがあります。無色の塗料を塗るだけでも、水や紫外線から木部を保護し、艶出しで美観を向上させることができます。

私たち大丸建設は、自然素材を使うプロフェッショナルです。木をはじめとする自然素材の知識、商品情報、使い方まで何でもお気軽におたずねください。

なんでも情報局

無垢材家具のお手入れ方法

流れるような木目の美しさ、やさしい色合い、さらりと手に馴染む温もり。無垢材でつくられた家具は、心地のよい生活に欠かせないものです。飽きの来ないシンプルなデザインは長い使用にたえることができ、時とともに味わいを増すのも特徴です。

どんなものでもそうですが、日々大切に使うことが何よりのお手入れ方法。無垢材の家具はオイル仕上げ(植物性の自然塗料で塗装後、油分を拭き取る方法)が多く、塗れたコップなどを置くと輪染みができてしまいます。コースターを敷くなどして対処しましょう。こぼれた汁物などはすぐに拭き取ることも必要です。

また、直射日光が当たるところに置くと日焼けをします。日焼けも味わいの一つですが、上に物を置くと焼けにムラができますので注意が必要です。大きな手入れとしては、年に1度ほど、植物油(荏胡麻油やひまわり油など)を布にしみこませ、すりこむようにして磨きます。こうすることで艶が長持ちします。

2005年01月

vol.05 (2005/1月)

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新年のごあいさつ


明けましておめでとうございます。昨年も大丸建設一同、地元の皆様にはたいへんお世話になりました。本年も、変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。

大丸建設は、今から130年前の明治初期、天才的な技を謳われた宮大工・石黒善太郎が建設業に携わったことが起こりとなっています。その技は2代目の石黒仙太郎にも受け継がれ、大正初期、高級木造住宅を専門とする建築家として活躍しました。代表的な作品として、藤堂伯爵邸、飛鳥文吉邸があります。

昭和初期、3代目の石黒善次郎が今の大丸建設の前身となる石黒組を興し、昭和36年、株式会社大丸建設として今に至ります。1983年には石黒善弥が社長就任、そして1999年、3代目石黒善次郎の甥である、安田昭が社長就任して今に至ります。

大丸建設は一貫して初代から伝わる木造の伝統工法を受け継ぎ、現在も在来軸組工法をメインに「長く住める、木の家づくり」を大切にしています。この稲城の地で培ったお客さまとの信頼関係に助けられ、現在も親子代々でご愛顧いただいているお客さまも多数います。

住まいとは、完成したその日からが本当のお付き合いの始まりだと、大丸建設では考えています。建ててから何十年、いえ、100年と住み継がれる家をつくり、住んだあとのメンテナンスも行っております。鍵が開かない、蛇口がつまった…どんな小さなことでもすぐに駆けつける「ホームドクター」としてご利用いただければと願っております。

幸い、現社長・安田の二人の息子たち(博昭、佳正)が次代も会社を受け継ぎ、また、若いスタッフも育っています。これからの何十年も、「サスティナブル(持続可能)」な住まいでの暮らしをお手伝いさせていただきます。

なんでも情報局

意匠性だけでなく、断熱性にもすぐれる障子の魅力


木組みの枠に紙を張っただけの建具である障子は、日本家屋の代名詞ともいえます。部屋の仕切りとしての役割のみならず、紙がやわらかく光を透過し、すぐれた断熱性を備えています。実に、機能的なのです。

冬季に特に求められる断熱性とは、冷えた空気を室内に入りにくくし、また、室内の熱を外に放出しにくくするものです。アルミサッシだけだと室内の熱の40%が逃げてしまいますが、サッシと障子を組み合わせることで断熱性能が2倍以上に上がります。

目隠しや遮光には、洋室では一般的にレースとドレープのカーテンが使われますが、吊り下げられた下の隙間から冷えた空気が室内に入り込み、断熱性能はあまり期待できません。嵌め込み型の建具のため、サッシとの間に空気層をつくり、それがさらに断熱性能を上げるのです。

また、障子はカーテンと違ってハウスダストをためにくく、すっきりとしたデザインから、最近では洋室でも使われるようになりました。

2004年11月

vol.04 (2004/11月)

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有機空間建築のノウハウを結集させた「ホンモノ自然素材の家」、完成!!!

今、大丸建設では「有機空間住宅」の建築に取り組んでいます。有機空間とは、有機食品の概念を建築に応用したもの。例えば、皆さんが安全な食品を選ぼうとする際、食品に表示されている成分表や有機JASマークを参考にするはずです。

建築にも同じことが言え、大丸建設が所属する「チルチンびと『地域主義工務店』の会」有機空間建築部会では、家を建てる際に使う建材一つひとつにどんな材料が使われているのか、産地はどこで生産者が誰なのかがわかるようなシステムをつくっているのです。

この10月に完成したIさん邸で使っている木材は、すべて宮城県のくりこま杉協同組合で燻煙乾燥をした材木です。どの山の木で、地主が誰か、いつ、誰が伐採したのか、製材、燻煙乾燥の行程までを追跡することができます。内壁に使っている「タナクリーム」や外壁の「そとん壁」も、すべて成分表示されているものです。有害化学物質に汚染されていると思われるものは使用しないのがポイントです。

有機空間住宅で材料にこだわるのは言うまでもありません。 大切なのは、その過程です。いつ、誰が、どこで、何を、どうしたのかということが常に把握できること。できるだけ自然のものを使うなら、既製品をはめこむだけの家づくりでは対応できません。

台所、浴室も大工が一つひとつていねいに手で仕上げました。階段板は青森ヒバ、台所の天板はブナ、風呂の壁は檜。私たちがあらゆる場所の材料を的確に答えることができるのは、自分たちの「手」でつくったからです。

10月16・17日に行われた完成現場見学会では、実に多くのお客さま(約15組)が足を運んでくださいました。皆さん、木の家の心地よさを体感し、満足して帰られました。大丸建設では今後も、「心地よさ」を担保する「安心」を追求するため、勉強を重ねていきます。

なんでも情報局

冬もカビにご用心?冬型結露対策


カビと言えば、じめじめした梅雨の季節の代名詞。しかし、今や乾燥する冬もカビの繁殖期だということをご存じですか? 高気密高断熱の住宅が普及し、今は冬でも室内はぽかぽかあったか。しかし外気はとても冷たいので、その温度差によって窓や壁に結露が生じてしまいます。

結露とは、暖かい空気が冷たい空気に触れることで急激に温度が下がり、空気中で含むことができなくなった水蒸気が水滴となって現れること。冬になると窓ガラスがびっしょり濡れるのはそのためです。

これを防ぐには、換気をまめにすること。特に外気温が下がりやすい就寝前(しかも、就寝時は汗などで人間から水分が放出されます)に、外気を採り入れることが不可欠です。

2004年09月

vol.03 (2004/9月)

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くりこま森林教室に行ってきました!

大丸建設で主に使用している木材の産地・宮城県くりこま山麓。7月18~19日に、3組のお客さまとともに、「くりこま森林教室」に行ってきました。

現在、日本で使われている木材の80%は外国材の輸入に頼っています。戦後の拡大造林期に大量に植林し、伐期になった(杉は40~50年生で住宅用資材として使える)木材があるのにもかかわらず、です。

また、外国産材の多くは防腐・防虫処理を行い、その薬剤が原因でシックハウスになる人も増えているのが現状です。

今回、私たちが訪ねたくりこま杉協同組合では、国産材を取り扱い、いっさい化学薬剤での処理をしない「燻煙乾燥」という技術を駆使しています。工場では、運ばれたばかりの原木の大きさに驚き、燻煙乾燥の窯から出てくる木酢液の匂いをかぎ、端材を接着剤で張り合わせてつくる集成材の作成工程を見、五感をフル活用して木材がどのように加工されているのかを理解しました。

夜は、くりこま山麓の温泉地に。二手に分かれましたが、この地域の古くからの名湯「佐藤旅館」と、電気が通っていない宿「ランプの宿」に宿泊。「ランプの宿」では川の中にある露天風呂に浸かり、お酒を飲みながら「稲城の昔話」「少年時代の話」に花が咲きました。

翌日は、森林教室のハイライト・伐採現場の見学です。ベテランの伐倒部隊(木こり)が木の倒れる方向を決め、チェーンソーで大木を切り倒していく様は迫力満点! ドーンという大きな音とともに木が倒れた瞬間には、思わず拍手をする人も。切り倒したばかりの切り株からじんわりと水が出ていましたが、これは、木がまだ水を吸い上げていたという証。

「命あるものだから、大切に使いたい」とは、あるお客さまの言葉です。 木材と産地、そして住宅のつながりがはっきりと見え、それをお客さまと共有できた貴重な体験でした。

なんでも情報局

シロアリの被害から住まいを守るために

床下や壁の中に潜む、小さな侵略者・シロアリ。シロアリは「サイレント・キラー」と呼ばれ、知らずのうちに住宅を支える大切な柱や土台を食害し、建物の強度を弱めてしまいます。一般に、シロアリ被害から木材を守るために薬剤を散布する防蟻処理が行われていますが、むしろ薬剤による健康被害の方が心配、という声も後を絶ちません。

日本で代表的なシロアリは、ヤマトシロアリとイエシロアリの2種です。世界でもっともどう猛なイエシロアリは関東以西に生息し、東京は比較的穏和な性格の?ヤマトシロアリの牙城です。

薬剤を使わない場合は、目視による定期点検を行うことで対処するほかありません。そのため、床下は人がもぐれるくらいの高さを確保することが必要です。

また、シロアリがもっとも苦手とするのが「光と風」。基礎パッキンや床下換気口で通風を確保し、土台には耐蟻性に富む檜、ヒバ材を使いましょう。

シロアリが発生した場合は、ある程度の薬剤処理に頼らざるを得ないのが現状ですが、最近ではシロアリ忌避効果のある月桃やヒバの精油成分、木酢液を主原料にした薬剤もあります。また、補助的に吸湿効果のある木炭を使うのもよいでしょう。

2004年07月

vol.02 (2004/7月)

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在来工法へのこだわり


昔ながらの家づくりは、大きな木を金物を使わずに組み立てながらつくっていった伝統構法が中心でした。大丸建設の家は、伝統工法の技術を現代に合理化した在来工法で建てられています。決まったモジュールを組み合わせるやり方ではなく、一つひとつが大工の手仕事です。だから、完全に自由な設計が可能です(構造的に大切なことは譲れませんが)。

日本は世界でも有数の地震国で、その中でも東京は地震の多い地域。一見、木造は地震に弱いと思われがちですが、鉄骨やRCに比べてやわらかい木造の住宅は、家全体が地震に対してねばり強く耐えるという特性があります。

良い材でしっかりと家をつくれば、地震や台風にだって十分安心して住むことができます。

オール国産材へのこだわり

大丸建設では、新築に使う木材はすべて国産材。紀州や宮城など、産地や生産者の顔がわかる木材を使っています。そもそも日本の家づくりとは、その土地の材料(木や土)で、その土地の大工がその地で培われた技術で建てるものでした。東京にだって木材はないわけではありません。

東京は、昔からこの地に根ざす江戸っ子もいれば、全国からいろんな人が集まっている土地です。ご自分の故郷の木で家を建ててみたい…、そんな時はぜひご相談ください。

大丸建設には全国の山地の情報があります。心身ともに心地よい家をつくるために、木材を中心にした自然素材にこだわり、これからも勉強を続けていきます。

なんでも情報局

蒸し暑い日が続いていますね。ついついエアコンのスイッチを押しがちなこの季節、家の中に心地よい風を通す工夫で省エネ&節約にチャレンジしてみませんか。

そもそも日本の住宅は、軒をしっかり出して日射を遮り、家の中に風の通り道がつくられていました。温故知新、昔の家のよさを見直してみましょう。

・風を入れるだけでなく、風の抜け道をつくる。

窓を開ける場合は、少しでも反対側のドアや戸を開けて風を通すようにしましょう。出口がなければ風は部屋の中を通り抜けません。また、風は気圧の差を利用するとより抜けやすくなります。風の入り口は大きく開け、出口はそれより小さく開けるとより大きな風が通ります。

・風と光は通すけれど目線を遮る、簾を活用する。
・窓の外にたくさんの緑を取り入れる。

見た目の涼感のみならず、まいた水が蒸発した気化熱が外の熱を下げ、涼しい風が家に入ってきます。夏場、玄関先に打ち水をするのもそのためです。